
「匂い」と「香り」―――誉田屋源兵衛十代目・山口源兵衛さんに聞く

KOTOSHINAと香りのプロダクトをコラボレートした京都の老舗帯匠・誉田屋源兵衛十代目、山口源兵衛さんに「匂い袋」についてお話をうかがいました。

現代社会でことがらをあらわすのに使用する「におう」という表現は、「臭う」のように日常に使われます。
それは気配もあらわします。平安時代のにほふは万葉集や古今和歌集のなかで美しさを伝える表現としてさまざまな和歌に登場します。
「花の色は雪に交じりて見えずともか(香)をだににほへ人の知るべく」(古今和歌集第6巻)
訳:梅の花の色は降り積もる雪でみえないけれど、咲いている場所を人に知らせるように香りだけでも匂わせてくれ
この和歌は小野篁が梅を愛した菅原道真公を偲んで詠んだ有名な歌として知られ、「香」は梅自体を指し、「匂い」はその場を含め空間全体を伝えています。







祇園祭との縁がにほふ
京都では八雲をはじめ古来受け継がれている文様が、祇園祭で公開される山鉾の豪華な飾りや衣装、曳き手や囃子方の浴衣など、さまざまなところで目にする機会があります。京都の長い歴史はお祭りや行事など縁でつながっており、BALと源兵衛さんの関係も祇園祭と無縁ではないとか。
「現社長とは幼馴染でやんちゃな子供の頃から一緒に遊んだ仲や。夏は祇園祭の山が遊び場。当時は町内にTVがある家が1軒しかなくて、そのお医者さんの家に子供たちは夜7時になったら集まったもんや。そのころから約65年経って、一緒になんかをつくるというのも不思議な縁やな(笑)」
調べてみると古語辞典では「にほふ」には「恩を受ける」「影響を受けて栄える」という意味もあるそうです。
「ほとりまでもにほふためしこそあれ」源氏物語:54帖の真木柱
(訳:その縁のある人々までおかげをこうむる例もあるのだ)
縁も「匂う」のですね。源兵衛さん、BALとKOTOSHINAを今後とも宜しくお願いします。
誉田屋源兵衛×松栄堂×KOTOSHINA コラボレーション 香りのプロダクト
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