記事: お茶の香りは焙じたにをひ?

お茶の香りは焙じたにをひ?
「お茶の香り」というとどんな匂いを想像するでしょうか? 新茶を煎れたときの新緑の香りなど人それぞれかもしれませんが、季節や場所を問わず思わず顔がほころぶのは、お茶屋さんの店の前を通ったときに焙じられているお茶の香ばしい匂いではないでしょうか。
実はこの香りの主成分はピラジンを中心とした【ピラジン類】という物質で、アミノ酸と糖質が加熱された際に発生するもの。
火香とも呼ばれ、お茶を火入れするときに生まれるこの香り成分は気分を落ちつかせるリラックス効果や、血流を良くして血栓を防ぐ効果があることで知られています。

ほうじ茶は様々な種類があり、全国でもさまざまな製法があります。ほうじ茶の定義は煎茶、番茶、茎茶など茶葉を焙煎したものを指します。その歴史には諸説ありますが、大正時代に京都の山城の茶商が考案したものと伝えられています。KOTOSHINAのほうじ茶はその山城地方の宇治の有機茶葉を使用。宇治茶の特徴とも言える苦み、渋み、甘みなどすべてのバランスを考えたまろやかな味と風味が特徴です。「はんなりとしたお茶」いう表現が似合うかもしれません。飲み飽きない、ずっと飲んでいられる安心感は有機茶葉の特徴とも言えます。
同じほうじ茶でも茶葉の茎だけを焙じた石川県の加賀棒茶は明治時代に誕生しています。地元では「番茶」と呼ばれ、京都の「京番茶」も焙じたお茶をそう呼ぶことから、地方によって「番茶」と「ほうじ茶」が混同されることがよくあります。本来「番茶」とは一番茶と区別するために3番茶、4番茶、成長して大きくなった茶葉を使用したお茶のことです。等級が劣る普段に飲むお茶のことを指しました。東京や静岡では煎茶と同様の製法で緑色のお茶のため、茶褐色のお茶を番茶として過ごしてきた人たちと時折、ちょっとした齟齬が生まれます。
松尾芭蕉が静岡の島田で詠んだ「駿河路や はなたちばなも 茶のにをひ」の句は、清水次郎長伝の浪曲で有名な「旅ゆけば駿河の国に茶のかおり」の一節とともに、よく知られています。長くこの「茶のにをひ」は新茶の香りだと言われてきたのですが、芭蕉がこの地を訪れた季節から考えると、番茶を釜で煎っていた匂いではないかという*コラムを発見しました。
ピラジン類の効果は、たちばな(蜜柑)のにおいより芳しいでしょうか。KOTOSHINA茶屋の季節限定のお菓子「みかん羊羹」と合わせてぜひお試しください。
*参照
松尾芭蕉と茶のにおい(公益財団法人 世界緑茶協会ホームページ)
■ KOTOSHINA茶屋
【みかん羊羹】
詳しくはこちら
■ KOTOSHINAの有機ほうじ茶
有機ほうじ茶
葉をじっくり高温で焙煎した、すっきりと香ばしいほうじ茶です。砂炒り焙じ機で焙煎することにより、茶葉の中までしっかりと火が入り、より香ばしい香りが引き立つお茶に仕上がりました。
寒い日のお供にぜひお試しください。