kotoshina talk event report 「新芽の会 ―うつくしいこと―」
美しさは、静けさの中に宿る。
揺れる光、にじむ緑、耳を澄ませば、どこかで水の音。
慌ただしい日々の合間にふと訪れる、そんな“ひととき”にこそ、美しさはそっと姿をあらわします。
そんな時間を大切にしたくて、kotoshinaは小さな集い「新芽の会 ――うつくしいこと――」をひらきました。
茶の実から生まれたスキンケアをきっかけに、日本の自然と文化、そしてこころとからだのつながりについて語り合う——
時間がゆるやかに流れる春の午後、その静かな集いを、あらためてご紹介します。
会の舞台となったのは、京都・東山の「ねねの道」。
かつて高台寺道と呼ばれていた八坂神社の参道で、豊臣秀吉の正室・北政所(ねね)ゆかりの高台寺や圓徳院が佇む、趣深い石畳の小径です。
すぐ東には西行庵や芭蕉堂が静かに並び、詩や祈りが息づくようなこの場所は、kotoshinaが守り続けてきた「タイムレスな美しさ」と響き合う、特別な空間でした。
会場のサロンは、茶室の路地を思わせる延段が続き、静かに客人を迎え入れます。
玄関を上がると、季節に寄り添った装いをまとった参加者たちが集い、穏やかな空気の中で言葉を交わしていました。
和室から望む枯山水の庭を背景に、着物や帯、バッグやアクセサリーなど、今日のためのスタイリングについて語り合うひととき。
その感性のやりとりは、「ホリスティックビューティー」や「本質の美」といった、この日のテーマを自然と感じさせる序章となりました。
こころの美を語る
今回のトークイベントでは、美容家・ライフスタイルデザイナーの吉川千明さんをお招きし、「こころの美」をテーマにお話しいただきました。
オーガニックや美容、そして京都という土地へのまなざしを通じて、日常を丁寧に整えるためのヒントがそっと紡がれていきます。
今年2月、吉川千明さんは東京から山梨・清里へと拠点を移し、「森に暮らす」をテーマにした新たなライフスタイルをスタートされました。
自然とともにある日々の中で、kotoshinaの製品も日常的に愛用くださっており、オーガニックのスペシャリストとしての視点から「モノを選ぶ」ということの本質についてお話しいただきました。
「すべては自分に合っているかどうかが、一番大切。
洋服を含めてファッション全般において、自分に合わないものは(自分自身に)元気がなくなるし、特に化粧品は体や心にシグナルが出る。
たくさんのモノに囲まれると、自分から自然に手が出るものが、自分に合うものだと気付くんです」
また、長く使い続けられるものや、飾りすぎないものこそが本質を持っているのではないか、とも語られました。
「長くそばに置きたいと感じるモノは、決して華美ではないんです。京都で“地味(じみ)”と表現されるような、控えめで深い魅力。
オーガニックの優しさにも、そんな美しさが宿っていると思います」
ワークショップでは吉川千明さんが普段、使用している製品アイテムの使い方を含めてレクチャー。茶の実オイルの効能や、日本生まれの化粧品としてフランス国内でオーガニック認証を得ている希少性を解説していただきました。
「kotoshinaのスキンケアアイテムは、京都で収穫されたオーガニックの茶の実を日本で搾油し、フランスのラボに運び、現地の天然水Gamarde les Bainsを使用して製品化されている。その工程の大変さはもとより、海外から見た日本のイメージが香りや製品の特性を生み出している。そのハーモニー(調和)がkotoshina独自のタイムレスな魅力」
今回、吉川千明さんにセレクトいただいたスキンケアアイテムを、書道家・カヤマミキさんによる「ことしな」の書があしらわれた風呂敷に包み、京都の美しさをまとった限定セットにいたしました。
目に見える美と、心に響く美をそっと重ねるように仕立てられています。
会場の床の間には、その「ことしな」の原書が静かに掛けられ、空間全体に静謐な気配を添えていました。
美容家・吉川千明セレクト KOTOSHINAシグニチャーセット「うつくしいもの」
詳しくはこちら
トークの後には抹茶や煎茶などの茶葉と和洋の食材を使い、趣向豊かなお弁当に仕上げたランチが用意され、薄茶がデミタスカップでサーブされるなど、kotoshinaのプロダクトの背景自体が料理にアレンジされています。
竹の皮を器にしたナチュラルな素材にこだわったお料理は京都・堀川下立売にある人気のレストランTOMOがこの日のために特別なメニューを用意してくださいました。
イベントの終盤、ふいに降り出した驟雨が庭の貴船石にしっとりと彩りを加え、静けさの中にまた新たな美しさを映し出していました。
総合的な美とは何か。目に見えるものと、見えないもの。その調和について、改めて感じさせてくれるひとときとなりました。
当日の様子は、kotoshinaのInstagramでも一部ご紹介しています。
言葉の余韻や空気感を、ぜひ映像でも。
kotoshna Instagram:@kotoshina